ミラドライブログ

2019.08.29更新

ビューホットとミラドライ 。

同じワキガ、腋窩多汗症治療器ですが中身は全くの別物

今日は論文の批判になるので、今まで書きたくても書かなかった内容になります。

 

その医学論文は前回の論文と同じ

”形成外科 2016年増刊号”に掲載されている

"(6)フラクショナルRF(ビューホット)ー汗腺破壊ー”

です。

この論文を否定する内容になるので、炎上必死ですかね!

 

医学用語もたくさん出てきますし、難しいことをかいているので、理解しづらいと思います。

ですから結論を先に言ってしまいます。

 

”ビューホットの治療効果はありません”

 

あ~,言っちゃった・・・・って感じですが、これが正しいことを検証していきます。

 

①組織を採取した時期について

 

この論文では、施術後18日の組織を採取して調べていますが、なぜこのような微妙な時期の組織で検討されたのでしょうか。

この時期は創傷治癒過程では肉芽増殖期といって、組織を治す細胞がたくさん活動している時期です。

この時期に組織が全く消滅していたら、復活(再生)はありませんが、組織が残っていたら復活(再生)してくると思います。

この論文では汗の組織がたくさん残っています。

 

②効果が出ているとされている組織を検証してみましょう

 

形成外科 2016年増刊号、  (6)フラクショナルRF(ビューホット)より引用

形成外科 2016年増刊号、

(6)フラクショナルRF(ビューホット)より引用

 

 

▼で示されているところが変性をしているとありますが、どこが変性しているのでしょうか?

正常な管腔組織を伴った汗腺組織があるのに、これで変性を生じているというのであれば、もっと具体的に示してほしいものです。

しかも、アポクリン汗腺とありますが、私にはエクリン汗腺にしか見えません。アポクリン汗腺というためには、断頭分泌されている所見がなければならないのですが、それが見つけられません。私の見間違いかもしれませんので、これをアポクリンとしているのならば、その根拠を教えてほしいものです。

 

私がこの組織をもとに考察すると以下のようになります。

 

線維芽細胞が増殖

 

青い実線で囲んである部位に線維芽細胞が増殖していて、焼灼された後の所見がうかがえるが、それ以外の部位に変化しているところは認められず正常である。

もっと簡単に言うと、下の図の赤いところに針が入って焼けたけど、それ以外のところは全く変化がないということです。

 

赤いところに針が入って焼けたけど、それ以外のところは全く変化がない

 

針で焼いている治療なので、当然といえば当然の結果で、針が刺されたところしか焼けてなくて、その針と針の間は、全く影響が出ていない=施術効果が全くない。

ということになります。

この焼けたところも、3か月後には組織が修復されて、元に戻っているかもしれません。

この標本の全体像を見てみないとわかりませんが、私が線維芽細胞といった所見も全く正常な所見かもしれません。

でも、少なくとも、黄色い線で囲んだ組織は全く正常な組織で、治療効果は全く出ていないということはいえます。

 

③この医学論文の、もう一つの病理組織所見も検証しましょう

 

形成外科 2016年増刊号、  (6)フラクショナルRF(ビューホット)より引用

形成外科 2016年増刊号、

(6)フラクショナルRF(ビューホット)より引用

 

 

汗腺組織が多数認められています。

私がこの組織の所見をかくならば、

”汗腺組織が多数認められ、治療効果は認められない。”

となります。

でも、この論文では

”基底膜の肥厚,細胞配列の乱れ,腺上皮細胞の包体の濃縮、内腔の拡大が認められる。これは、細胞変性や機能異常を意味し,その程度も強い設定ほど顕著になっている。”

とあります。

私にはすべて同じ組織にしか見えません。

ただし、この写真でそう見えるだけで、実際にプレパラートを見てみたらこういう所見なのかもしれませんが。

 

しかも、ここでアポクリン汗腺とあるのも、私にはどう見てもエクリン汗腺にしか見えません。断頭分泌している所見が一つもないので、少なくともアポクリン汗腺とはいえません。

 

そして、内容物の染色具合で、薄いとか濃いとか言っていますが

そもそも、内容物って染まるのでしょうか?

汗腺組織の内容物って、汗、ということは水です。

標本を作った時に、水は洗い流されて、無くなっているはずだし、これがピンク色に染まるのでしょうか?

しかも、色の濃淡で機能の違いがあるって、どうしてわかるのでしょうか?

そんなこと言えるのですか?

 

私には、線組織が残っているのに、効果がないとは言えないために、苦し紛れに見つけたようにしか思えません。

 

私の論文はもっと明解です。

汗腺組織が完全になくなっています。

これは、”ミラドライの効果について検証 病理組織編”でも検証しています。

 

 

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本当に書いてしまいました。

禁断の論文批判。

ついにしてしまいました。

 

 

これでいいのかと思う私もいますが、どちらが正しいのか教えてほしいのもあって・・・・・・・

形成外科医の皆様、反論お待ちしています。

投稿者: 元昭和大学形成外科准教授・清水祐紀